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  • cherrybravo2001

観光人材育成論①2つの似て非なる要素


国を挙げての「観光人材」育成が叫ばれてもう数年経っているでしょうか。国内消費が減退する一方で、経済成長の源を外貨に求めるのは当然であります。しかし、観光振興戦略を「訪日外国人受け入れのため」の一辺倒になるのは、観光人材を育てるという点ではいささか一足飛びの感がいなめません。 そもそもなぜ人材育成の視点で、わざわざ「観光」と頭に名付けているのか、には理由があると考えています。今日はその意味について理解を深めたいと思います。

観光が一躍脚光を浴びたのは、今から約50年前の「高度成長期」です。高度成長期とは、いわば、日本人が一塊になって「より豊かな暮らし」を日本人の歴史上はじめて求めた大きなうねりのような期間でした。その特徴は「一億総●●化」という言葉が生まれたように、皆が皆、こぞって同じ商品を志向したということです。たとえばプロ野球でも「野球は巨人」が当たり前で、テレビでは毎試合巨人の試合だけが中継されていました。プロ野球12球団の中でファンの数は当然「巨人」が一人勝ちであったわけです。皆が同じものを見ているから、価値観も似かよう。おのずと「欲しいものがみんなと同じ」状態となっていました。これが、高度成長期の消費活動の最大の特徴です。

そして、その真っただ中の1973年には為替が変動相場制に変わり、一ドル360円の時代は終わり、日本の円が強くなっていくにしたがって、庶民はこぞって海外旅行という「高嶺の花」が初めて身近に感じられるようになり、「いつかはハワイへ」と皆が同様に願うようになりました。観光産業の勃興です。 観光産業は、この「欲しいものは皆同じ」に洗礼を浴びて誕生しています。そして、その後、バブル期を迎え、この動きは衰えることなく加速し、なんら停滞期を迎えることなく、ここまで育ってきたと言えましょう。 そう、観光産業は、その成り立ちからして、マーケティングの発想が育つ土壌が深耕されなくてここまで成長してきたと言えるのです。旅行という「アクション」はあったものの、それを裾野の広い産業とは呼び難く、単に、交通、宿泊、代理店など一部の旅行業界の関係者だけの商売でしかなかったのです。そしてそこでは、「野球なら巨人、海外旅行ならハワイ」と、皆が目指す同一商品をより多くの人に売るため大量に仕入れ、大量に販売、そして価格で勝負して「まずは旅行という楽しみを体験させてあげよう」と売ってきた実態がありました。  これがその後の観光産業の基盤ですから、そこには、他の産業なら当然培ってきたマーケティングという「思想」自体が乏しかったのです。したがって、従事者にもマーケティングという意識は希薄であったと、長年旅行観光分野で商品の広告・情報編集をしてきた私などは想像しています。  現代の「観光人材育成」の呼び声の根拠を細分化すると、私は似て非なる2つの要素に分かれると考えています。 ひとつは、前述したマーケティングはじめ「どうやって稼ぐか」という、いわばビジネス社会であれば当然求められる当たり前のビジネススキル。 そして、もうひとつが、観光産業ならではの特徴である、観光産業の原資たる「商品」を創出するための「既存のものから魅力を見つけ出し、より消費者に喜んでもらえるようにその価値を高める力」です。 ビジネスに当然もとめられる「ビジネススキル」と、観光分野だからこそ必要な「商品価値を高める力」。 私は、この後者の「商品価値を高める力」において、今だその養成のされ方が体系だって共有されていないことを危機感をもって感じています。この力を商品提供者が蓄えてアウトプットしないかぎり、「観光」の価値が下がって行くと感じています。ライバルはネット社会、家にいながら様々な体験ができるバーチャルリアリティ、そして、コロナも戦争も逆風だらけだからなおさらです。今だからこそ求められる、観光産業の根幹をなす「地域の魅力を引き出す力」。その「力」」をどう身に付けて行くかを考えるにあたり、まずは「対象をじっくり観察すること」を提唱しています。著書『まちの魅力を引き出す編集力』にも、最初の章で多くページを割いて解説しているのがこの「じっくり見ることの大切さ」です。一度ご覧いただけるとご理解いただけると思います。 じっくり観察することとは、人がそもそもあるものごとを進めて行くにあたり必要とされる「思考」と「実行」の基となる、「知覚」能力を高めることと同意語です。 次回はこの「知覚」の重要性について記していきたいと思います。 最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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